『インド文化研究同好会 ガネーシャにきけ!』
                  by.あかほりさとるとゆかいな仲間たち

悠久なるガンジスの流れに見守られたその国は、深い歴史と多彩な文化、
そして大いなる可能性をも秘めている。
その国こそが――

『インド』!

そしてこれは、『インド』の名のもとになんでもありな、
ハイテンションだったりローテンションだったりよくわかんなかったりな、
ルール無用の学園コメディ。

その中心となるのは、『インド』に魅せられた者たちが集う、その名も――

『インド文化研究同好会』!

日々是インドな学園生活は、様々な事件が起きたり起きなかったり。
何も起きなくても楽しい。
でも、何か起きた時はもっと楽しい。

そんな学園生活が送りたかったら、ぜひとも、その部屋の扉を叩いて欲しい。
些細なことは大事に、大事はさらにとんでもない大事になるだろうから。
『インド』に関わることでも、『インド』と全然関係ないことでもね。

いや、なんかもう、それ、『インド』でなくてもいいじゃん!?
――なんて意見は必要ないからね。
なぜかって? なぜなら――

人は誰もが、心に『インド』を持ってるからさ?

さあ君も、心の『インド』に正直に生きるんだ!
『インド文化研究同好会』はいつでも君を待っている!


★来たれ新人! ようこそインド文化研究同好会へ

日本本土より伸びる長大な橋――ビッグブリッジの終着点であるそこは、
学園島と呼ばれる、海上に建造された巨大学園都市である。

インド文化研究同好会は、学園島に存在する多種多様な学校の一つ、
ビッグブリッジ第一〇学園――通称ブリテン――を活動の場としている。

学園島において生徒たちの自主性はなによりも尊重されており、
自治の名のもと生徒会が強い権力を持っている。
それはブリテンも例外ではなく、生徒会ににらまれたクラブや団体はことごとくその活動を阻害されてきた。

結果、ある者はひっそりと、ある者はゲリラ的に、
またある者は生徒会の傘下に入りながら活動しているのが現状である。
しかし、そのブリテンにあってただひとつ、何者をもおそれず、誰よりも自由で、
傍若無人に、ひたすらまでにインド文化を愛し抜き、追求し続ける集団があった。

そう、それこそが、無敵最強、インド文化研究同好会なのである!
だが、彼らにはインド文化追求それだけでない、真の目的があった。それは――


★千里の道も一歩から。インドもまずは地元から!

インドのすばらしさとは、すなわち、その潜在能力である。
政治、経済、軍事、教育、産業、科学……様々な分野においていずれも、現在は決して世界一ではない。
が、世界一を狙えるだけの力を確かに持っているのだ。

遠からぬ未来、その驚異の潜在能力でインドは世界に冠たる国となるだろう……
そう確信する男が一人、ブリテンに存在した。

その男こそ、真覇道巖時朗。世界を制覇する男である(自称)。
インドこそ世界を制する力と信じる彼の目的とは、インドを日本に広めること
――いや、むしろ世界をインドそのものに変えることにあった!

だが、拙速よりも巧遅を尊ぶ真覇道巖時朗は焦らない。
地道に、ごく手近なところから少しずつ、巧妙に、インドに変えていく活動を始めたのである。

そのために設立した団体こそが、インド文化研究同好会。
まず地元のブリテンや学園島からインドに染めていき、ゆくゆくは日本、
そして、世界にその野望の手を伸ばす――バカ騒ぎの裏にはそんな深慮遠謀があったのだ。

それは、インド・ザ・ワールド計画――! インドこそ、世界!
そんな彼の野望を知ってか知らずか、インド文化研究同好会に集う者たち。
その力もまた、真覇道巖時朗の野望の礎となる。
そしてその中に、この物語の主人公となる少年少女がいた――


★これが、インド文化研究同好会の精鋭たちだ!

田島春 [たじまはる]
   ――ファーストキスはカレー味――

便宜上は主役だが、そんな立場などこの先どう転ぶかわからない高校一年生。
インドオタクの両親に、幼少の頃よりインド漬けにされて育てられてきたため、逆にインドは大嫌い。
特にカレーは、毎日食べさせられてきたトラウマから、もはや恐怖の代名詞。

そんな経験からか、一口食べただけでそのカレーを作った人物の容姿・性格・内面・心情等を
瞬時に理解するという、もはや変態の領域に到達した能力に目覚めてしまう。

ひょんな事からルゥと出会いファーストキスを奪われ、それをきっかけにインド文化研究同好会の扉を叩くことに。
自分は常識人と激しく主張するも、変人たちとの交流の中で次第に染められていく。


ルゥ
   ――謎の彼女はカレーのお姫様!?――

褐色の肌にサリーをまとった、全身からカレーの芳香を漂わせる謎の美少女。
その正体は、春の両親のインド土産の中から現れた、自称カレーのお姫様

――てなわけでやっぱり謎なままだったりして。現在、春と同居中。

名前以外のことは何も覚えていない、いわゆる記憶喪失。
そのせいか好奇心旺盛で、感情のままに行動する少々子供っぽい性格。

態度は大きいが、実は寂しがりやで泣き虫(指摘されるとムキになって否定するが)。
何かのショックで人格が一変することがあり、前述のベーシックな中辛モードの他、
春にデレデレベタベタに甘えまくる甘口モード、女王様のごとき厳しくあたる辛口モードが存在する
(その理由は今のところ不明)。

春と一緒に同好会に迎え入れられ、わりとその生活を楽しんでいる。
『ガネーシャの牙』という不思議アイテムの使い手で、アイテムをだしたり変身したり魔法じみた力を使えるが、
未熟なのか記憶がないからか、大失敗に終わることが多い。
好物はカレーで、カレー味のものしか食べない。



ガネーシャ
   ――とんでもねえ、あたしゃ神様だよ――

ルゥと共に現れた手のひらサイズのちんまい象で、幸福を与える神様(自称)。
インド神話の通り片方の牙が折れていて、折れた牙の持ち主であるルゥを姫様と呼び、
仕えている――が、ピンチの時は真っ先に逃げ、事態がおさまるといつの間にか戻っているという、
わりといい性格をしている。

自称神様だけあって博識だが、質問などにはあまり真面目に答えたりしない。
外見だけならとても愛らしく、声も可愛い女の子っぽいけど、
その本性は純真無垢な瞳でセクハラやエロトークなどかましたりする女の子スキー。



真覇道巖時朗[まはどう がんじろう]
   ――見参、無敵会長。インドで世界を制する男――

インド文化研究同好会の会長をつとめる高校三年生。
頭脳明晰、容姿端麗、威風堂々、傍若無人たる彼の目的は、ズバリ世界制覇。
かつてガンジス川での沐浴中に、インドを極めてこそ我が覇道に至るという真理に到達し、
インド文化研究同好会を旗揚げする。

大富豪である真覇道財閥の御曹司だが、身一つで世界を制覇せんと、現在家出中。
どんなことにも強引にインドを絡めて介入してくるその行動力で、
ブリテン生徒におそれられていると同時に一目置かれてもいる。
部への昇格を打診されても、「部長よりも会長の方が偉い」という理由で拒否。
生徒会から目の敵にされているが、自分が一番偉いと思っているので気にしない。

敵に回したくはないが、できれば味方にもしたくない男。
ルゥたちをインドの神秘と賞賛。ガネーシャとは気が合い、覇道を語り合うことも。



紫華羽海 [しはなうみ]
   ――微笑みの破壊神?――

インド文化研究同好会の副会長として巖時朗を補佐する高校三年生。
巖時朗の幼なじみにして許嫁でもあり、彼が真覇道家を出た際も、何も言わずにそのあとに付き従い、
共に同好会を立ち上げた。巖時朗ラヴ。

大人びた雰囲気の美少女で、いかなる時も微笑みを絶やさない温厚で心優しいお母さん的存在だが、
実は巖時朗の手綱を握ることができる唯一の存在。
本気で怒ったならば巖時朗すら戦慄すると言われるその真価とは……?
女の子好きなガネーシャに、唯一苦手とされている(なんでも父親を思い出すらしい)。



桜沙那 [さくら さな]
   ――ヨーガこそ、地上最強の武闘なり――

地上最強を目指す、女子高生格闘家。高校二年生。
ただひたすらストイックに強さを追い求め、様々な格闘家や武術との邂逅を経たのち、
巖時朗と出会いヨーガの奥深さを知らされ、同好会に加入。

ヨーガの修行により、人体七つのチャクラを開く術を得、チャクラを開くごとに驚異的な戦闘力を発揮する。
自分を高めることに余念がなく、今もなお修行中。
実は純情で、戦闘以外で男に触れると恥ずかしさのあまり暴走する。



スカーレッティ・朝邑 [あさむら]
   ――何はともあれ、お茶でもいかが?――

イギリスからの帰国子女で高校二年生。愛称はレッティ。
紅茶とティータイムをこよなく愛する、穏やかで清楚可憐な美少女。
日本の紅茶文化に失望していたところ、インド産の茶葉の香りに引き寄せられて、そのまま同好会の一員になる。

時と場所を選ばずティータイムに突入する、とことん自由な性分。
紅茶ジャンキーで、紅茶が切れると、可憐な表情のままきついスラングを吐いて周囲をドンびきさせることも。



上田陸 [うえだ りく]
   ――最下層に生きる愛の奴隷――

高校二年生。
爽やかな風貌のイケメン好青年だが、その実は変態的なまでにM。
特に羽海を狂信的なまでに崇拝しており、奴隷志願を公言してはばからない。

羽海からは相手にされていないが、それすらも自身の中でプレイに昇華させる生粋の変態。
同好会において人権を認められていない最下層ランクで、同好会が巻き起こしたあらゆるトラブルなどでも
常に不平等で不幸な扱いを受け続ける男。
でも、本人はわりと幸せ。


軒並子 [のき なみこ]
   ――軒並みフラレ続けて29年――
ビッグブリッジ第一〇学園の教師で、インド文化研究同好会顧問。
生徒思いで指導力もあり、学園の誰にも愛されている、まさに理想の教師像を体現した奇跡の女教師

――なのだが、なぜか結婚相手にだけは恵まれない。

惚れっぽいが、フラレ続けて彼氏いない歴29年、三十路も間近で結婚願望が強い。
家での晩酌だけが唯一の楽しみだけど、今も白馬の王子様を待っている。



★インド文化研究同好会の華麗なるライバルたち!

原門和人 [はらかど かずと]

ビッグブリッジ第一〇学園生徒会長。高校三年生。バカ。
美貌も知性も巖時朗に匹敵するだけのスペックを持っているが、活用しきれない。
キャラがかぶっているという理由で(本当は全然かぶっていない)巖時朗をライバル視
しており、インド文化研究同好会が何かするたび立ちはだかる。で、してやられる。

モットーは、『心に広がる無限の愛』。
早い話が女好きのスケベで、一日一度は一目惚れ、三日に一度は初恋を経験する。
でも、バカだからもちろんモテない。だけど、バカだからそれに気づかない。
ルゥにこれまでの一目惚れにない胸の高鳴りを覚え、生徒会に迎え入れようと画策する。



生徒会八部下衆

原門和人に忠誠を誓う、七人の部下たち。全員よく似た没個性的な顔をしている。
七人しかいないのに八部下衆なのは、一人は常に陰で暗躍しているため。
でも、その姿を見た者は誰もいないので本当に暗躍しているかどうかは定かでない。

忠誠を誓っているわりには、結構慇懃無礼な悪口雑言などを口にするが、和人はバカなので気づかない。
仕事は主に和人へのツッコミ。



美久遠りあ [みくとお りあ]

学園島の実力者、美久遠グループ会長の孫娘で、ビッグブリッジ第一〇学園の理事長代理をつとめている高校二年生。
生真面目で融通がきかない部分もあるが、決して冷淡ではなく、筋を通すタイプ。
節度を守るクラブには鷹揚だが、そうでないクラブ――たとえばインド文化家研究同好会など――には鬼のようになる。
もっとも、その原因の一端を担っているのは、実は春。

春とは幼い頃お隣さんで、今でも弟のように、あるいはそれ以上に思っている。
だからインド文化研究同好会に入ったり、ルゥと同棲している春を更正させようと必死。
春に対しては甘くお姉ちゃんぶるが、そこにルゥや巖時朗が絡んでくると途端にヒステリーになったりだだっ子になったり。


★インド文化研究同好会、その活動内容!

数多の学園が集結し、もはや一つの都市と言っても過言ではない学園島。
その学園島に存在する学校の一つ、ビッグブリッジ第一〇学園の生徒である田島春のもとに、
ある日インドオタクの両親からインド土産が送られてくる。

幼い日々のインド漬け生活のせいですっかりインド嫌いとなった春は、土産の置物を邪険に扱い、うっかり壊してしまう。
すると、なんと壊れた置物より謎の美少女と謎のちんまい象が飛び出してきたではないか。
しかも、事故でその少女とキスをしてしまう。

そんな突然のファーストキスは――カレー味?
カレーの芳香を身にまとう少女は、ルゥという名前以外は何も覚えていなかった。
そしてちんまい象に至っては、自分をガネーシャというインドの神様だという始末。
突然の異常事態に混乱する春に、ルゥは、ファーストキスを奪った責任を取るよう要求する。
すなわち、自分の記憶を取り戻すことと、元いた場所に返すことを。

カレー嫌いの春にしてみれば、こんなカレーっぽい女の子と関わるのはごめんだったが、
事故とはいえキスしてしまった責任は感じていた。
しかし、土産を送りつけてきた肝心の両親に聞いてみてもルゥの正体については何もわからず、
ガネーシャもルゥを姫様としか言わない。

他に頼るべきもののない春だったが、一つだけ心当たりがあった。
彼の学園――通称ブリテンには、『インド』をこよなく愛する集団があったことを。
春はルゥと共に、変わり者で知られる彼らの元を訪れる。
そう――インド文化研究同好会を。

そして、同好会員として引き込まれたその日から、春の生活は一変する。
トンデモ事件、奇人変人たちの大乱舞、謎のUMAに秘密組織……
元から普通じゃなかった学園島は、さらに普通ではなくなっていく。
そして、インド文化研究同好会は、そんな出来事を決して見逃したりはしないのだ!
ムチャクチャだったり、ワケわかんなかったり、トンデモないシリアスだったり、
ラブコメだったり、かと思えばまったく何事もなかったり――

そう、何が起こるかわからない日々の始まりだ!


★インド文化研究同好会、その活動内容! 2

●学園祭編
学園島全土をあげて開催される学園祭。
外部からも多くの客がやってくるこの大イベントで、インド文化をアピールすべく同好会が企画したのはインド喫茶。
女の子たちは全員サリーで、メニューは全てインド料理。そんな、ある意味まっとうな活動ともいえるが、
そこに強敵が立ちはだかる。

その名も、メイド騎士団!
おのれ、ここでも立ちはだかるか、大英帝国!
イギリス仕込みの本場メイドによるサービスの前に、窮地に立たされるインド文化研究同好会の運命やいかに!?


●トーナメント編

ブリテンの格闘系全ての部や同好会を制覇した桜沙那。
そんな彼女を倒すべく、一流の格闘家たちが学園島に集う。
そして、巖時朗の策略で開催されるトーナメント戦。勝ち進む沙那だが、
決勝の前で道路に飛び出した子猫を助けてケガをしてしまう!
ハンデを背負い、最強の挑戦者を迎え撃つ沙那。
今こそ究極のヨーガにて、伝説のチャクラを開くのだ!

●ラブコメ編

いつもケンカばかりの春とルゥ。
だが、ある日ガネーシャが急用で家を空け、一晩二人っきりで過ごすことに。
ケンカしつつも、二人っきりであることを意識して、ドキドキハラハラ。

しかし、「二人っきりなんて不潔よー!」と、そこにりあ見参!
何かと張り合うルゥとりあに、別の意味でドキドキハラハラな春。
二人に挟まれたストレスでシクシク痛む春の胃は、はたして明日まで耐えられるのか!?

●合宿編

巖時朗の思いつきで、校内合宿を敢行することになったインド文化研究同好会。
一週間煮込み続けて最高のカレーを制作し、みんなで食べようというわけだ。
しかし、校内中に立ちこめるカレー臭は、善良な生徒たちをもカレーの虜にしてしまう。
カレーを求めるカレーゾンビと化した生徒たちの襲撃より最高のカレーを守れ、インド文化研究同好会!

●消えた『ガネーシャの牙』編

ご存じ、『ガネーシャの牙』を使って様々な不思議現象を起こせるルゥ。
しかしある時、その『ガネーシャの牙』を紛失してしまう。

『ガネーシャの牙』がなければ、自分はただの役立たずだと落ち込んでしまうルゥ
「あっても役立たずなのは変わらないが……」そんな一言を必死で飲み込んで、
春とインド文化研究同好会の面々は『ガネーシャの牙』を探索する。

そして、時を同じくして校内で起こる不思議事件と、怪しい少女の暗躍。
まさか、もう一人の『ガネーシャの牙』の使い手なのか!?

●生徒会選挙編

ブリテンで、新たな生徒会長を決めるための選挙が近づく。
インド・ザ・ワールド計画の一環として、巖時朗はこの選挙においてルゥを立候補者にたてる。
人間でない上、この学園の生徒ですらないルゥの立候補に続き、
現生徒会長原門和人も留年してもう一度会長をやると宣言。

そんな和人の挑戦に、巖時朗も三年生ながら立候補を表明。
ルゥを立てておきながら何してんだあんたは!? なんて春の声はとうてい届かない。

混沌とした会長戦を制して、新たな生徒会長をなるのは――

●並子、その愛編

軒並みフラれ続けてきた並子先生に春が来た?
そんなもん信じられるかー! と心を一つにしたインド文化研究同好会の面々は、並子先生の私生活をさぐることに。

並子先生のお相手。それは、白馬……じゃない、白象に乗った王子様!?
並子先生に彼氏ができるなどという天変地異が起こっては、インド・ザ・ワールド計画にも
支障をきたしてしまう。よって、この恋、なかったことにしてもらおう!

幸せを求める並子先生と、野望に生きる巖時朗との非情な師弟対決が幕を開ける!

●コミケ編

同人界を制覇し、まずはオタクどもをインドに染めようと計画する巖時朗。
その鶴の一声で、インドの同人誌を制作することになるインド文化研究同好会。
……だが、さしもの巖時郎も知るよしもなかった。オタクという人種の、圧倒的なまでの妄想力を……。

向かうところ敵なしだった男は今、初めて勝算なき戦いにその実を投じる事になるのだった。
悠久なるガンジスの流れよ、我に力を貸したまえ!

敵は壁の最大手サークル! 

島中のインド文化研究同好会に、果たして逆転の秘策はあるのか!?